久保さんのきっかけは海の向こうの貧困問題秋晴れの日曜日、午前10時。神戸市北区淡河の畑にMICRO FARMERS YOUTHの学生たちが集まる時間です。三宮からバスで30分、バス停の往復は地域の力も借りて。鳥の鳴き声と風の音しか聞こえない静かな場所が一気ににぎやかになります。何か楽しいことが始まるような雰囲気に、「元気でしょ?」とスタッフの久保陽香さんが笑います。「晴れの日も曇りの日も、雨が降った次の日のドロドロの日でも、いつもあのテンションで来てくれるからいいなって思うんです」。神戸市北区に「神戸市版地域おこし協力隊」として移住し、EAT LOCAL KOBEのメンバーとして農村とまちをつなぐ活動をする久保さん自身も数年前に農に興味を持ち、農に携わる道を選んだと話します。「きっかけは貧困問題です。経済学部で学びながら『豊かな暮らしとは何か』を知るために海外へ。そこで衝撃を受けました。途上国の貧困を解決しなくちゃと思い込んでいたんですけど。そこには仕事があり、食べることができ、その国が元々持っている『豊かな暮らし』がありました。なんか悶々した気持ちで帰って来たんですよね」。それから休学し様々な経験を重ね、現在、久保さんは土を耕します。知りたいこと、やりたいことが増え、忙しいとか。「悶々してる時間はありません(笑)」。 失敗が当たり前の世界7月号で森本聖子さんに伺ったMICRO FARMERS SCHOOLでは農業へのハードルを一段階下げて、小さな兼業農家を目指せるような環境をサポート、MICRO FARMERS YOUTHはその名の通りYOUTH、学生が対象です。その目的を理事の小泉亜由美さんに伺うと、「まずここに通うことを楽しんでほしい。そしてお日様の下で仲間と大声で笑い、一緒に汗をかいて、身体を動かして、帰りのバスでは爆睡、夜は大切に育てた野菜を食べてぐっすり眠る。そこに今の世の複雑さや不安はないですよね。小さな子どもの頃のように、ただ無邪気でシンプルな1日を月に数回でも持つことで、心身のエネルギーは明るくなると思うんです。そんな体験がこれからを生きるための一助になれば」。畑では1人一つの畝を管理。自分の場所となるので好きな野菜を植えてもいい。植えるのは種か苗か、春か秋か、土に合うかどうか。久保さん始め、携わる農家さんにも相談しながら自分で決めていくことから始まります。育て、収穫し、それぞれ35
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