KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2022年11月号
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プロフィールには「大学在学中に音楽に目覚め」とありますが、それまで音楽は?普通に聴くくらいです(笑)。音楽を初めて意識して聴いたのは、中学生の頃、姉が聴くカーペンターズでした。「いいな」「好きだな」と初めて思った音楽。ドリカム(DREAMS COME TRUE)、渡辺美里も好きで、家では歌っていました。今思うと「目覚め」のきっかけのひとつが高校の文化祭。ステージで、大好きな曲、ドリカムの『すき』を歌ったんです。ダンスとか色々な出し物がある中で1位に選ばれて、拍手をたくさんもらいました。それが人前で歌った初めての経験で、その感触が奥底に残っていたのだと思います。そこでは音楽の道へ進もうと考えなかったのですね。そう、地元の大学へ進学しました。歌手になると決めたのは入学後。クラブでR&Bを歌う友だちが相方を探していて、R&Bやソウルなどの洋楽を一緒に歌うようになりました。デスティニーズ・チャイルドやTLC。当時流行っていたノリのいい音楽です。今歌っている音楽とは全く違うジャンルですけれど(笑)。そのうち、洋楽のインスト曲に詩をつけて、勝手にオリジナル曲にして歌い始めたんです。そうしたらそれが好評で、喜んで聴いてくれる人がたくさんいて。そこでようやくですよ、「歌手になる!」(笑)。「東京に行かなきゃ!」って思ったから大学は辞める、住む場所と仕事を探さなくちゃいけない、父は猛反対。プロフィールでは1行ですけど(笑)、大事件ですね。雷に打たれたというか何かにとりつかれたというか。でも行動したら何かが始まると信じていたんです。住み込みで働けるパン屋さんに採用が決まった時は嬉しかったですよ。歌手になる未来に1歩近づけたような気がして。ピアノもそれから練習を始めました。子どもの頃、ピアノのお稽古は続かなかったのに、やっぱり目標があると人はがんばれるんですよね。曲作りもライブ活動も1人きりで始めたのですね。曲作りは自然にできました。私の場合、伝えたいメッセージにメロディがついて歌になって、頭の中に流れてきます。歌にするのは自分の中にある感情なので難しい言葉は使わないし、わかりにくい表現もありません。それは今も同じです。ショッピングモールでライブをするようになってから楽曲は変わりました。ライブ後のサイン会で、お客様が苦しみや悲しみ、抱えている問題などを話してくれるのですが、ショッピングモールって生活の場所だからなのか、初めて会う私にオープンに話をしてくれました。その声が自分の中にとどまって、溜めておく器がある感じか歌うことが仕事になるまで。ショッピングモールで歌う日々。31

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