KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2022年11月号
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演技を極めるために…18歳のときにCDシングルで ソロデビューし、今年10周年を迎えた。俳優を意識し始めたのは15歳の頃だという。きっかけは主演を務めた連続ドラマ「恋して悪魔~ヴァンパイア☆ボーイ~」(2009年、関西テレビ系で放送)。「自分の演技を振り返ったとき。プラン通りに演技ができていない。表現が思うように具現化できていない…。そんな反省点ばかりで、悔しくて…」演技を極めたい―このとき、そう決意していた。以来、舞台に映画、ドラマなど俳優としての活動に精力的にエネルギーを注いできた。そのストイックさは、多くの映画監督や演出家たちも認めるところだ。今回の演出家、池田さんは芝居に取り組む彼の真摯な姿勢をそばで見てきてこう評する。「こんなにいい俳優はなかなかいない。間違いなく、これから「大海原へ泳ぎだすような舞台。そう考えています。俳優が泳ぐ方向を間違うと遭難する危険もある。でも、遭難しないように、途中、ところどころにブイが置かれてある。つまり即興劇の最低限のルール、規範があり、それがブイです。俳優は即興で演じていて、途中、どの方向へ泳ぐのかが分からなくなったとき。このブイに向かえばいい。そしてまた、次のブイへ…。ブイを頼りに泳ぎ進んでいくと、目的の地へと近づいていくことができるようになっているんです」舞台の演出意図を、演じ手の立場から冷静に分析する。この理路整然とした解説はさらに続いた。「芝居の途中で目指すこのブイですが、その地点ごとに複数置かれてある。つまり俳優には選択肢がいくつもある。ゴールまで、この選択肢が複数あるブイが、計数十地点に設置されているんですよ」これから挑もうとしている即興劇のハードルは想像以上に高そうだ。の日本の演劇界を背負って立つ逸材です」と。 作品ごとに違ったアプローチで取り組む役作りの手法は凄まじい。「役者に必要なのは想像力」。これが持論だ。4年前のドラマ「北斗―ある殺人者の回心―」(WOWOW)では、主演を演じるために12キロもの減量に挑んでいる。「減量はオーディションのときに出された条件でしたからね。普段の体重ですか?約61キロですよ」。さらりと語るが、体重を40キロ代まで落とし、演技を続けていたのだ。だが、彼にとっては激しい減量も、役作りの上では一つの要素に過ぎない。「撮影期間中は持っている物をほぼ整理しました。スマホも持ちませんでした。誰とも連絡もできないし、現場でも誰とも話さないようにしていましたし…」と打ち明けた。望んだロングラン公演3日に開幕する大阪での舞28

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