KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2022年11月号
132/136

今回は畳表の材料、い草の栽培について、日本最大の産地の熊本県を例にご紹介します。前回お伝えしたように、い草はイネ目イグサ科イグサ属のイグサという植物です。種から育てると栽培に時間がかかり、なおかつ個体差が大きくなってしまうので、生産現場では株分けにより株を増やし、それを育てて苗にしていきます。一般的に株分けは2回、育苗は畑と水田の2段階でおこなわれます。まず、年末から正月にかけての時期に、畑の苗床に株を植え付けますが、寒い時期ですので場合によっては防風対策を施します。また、温かくなると雑草が生えてくるので、除草作業が欠かせません。畑で育て分けつさせた苗は8月になると掘り起こし、水田の苗床へ植え替えます。この際、最初の株分けの作業がおこなわれます。大きな株を10本程度の株に小分けしていくのですが、これが地道な手仕事。株は根っこ同士がしっかりと絡まっていてほどくに一苦労で、力の必要な作業です。平尾工務店木のすまいプロジェクト失われつつある日本伝統の建築文化を未来へ。連綿と受け継がれてきた匠たちの仕事をご紹介します。畳編|Vol.3い草の栽培~育苗と株分け132

元のページ  ../index.html#132

このブックを見る