KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2022年11月号
130/136

漫画の神様に憧れて…神戸から震災復興の祈りと地元地域の活性化への願いを込めて…。今から13年前。2009年、神戸市長田区の若松公園に全長約18メートル、総重量約50トンの「鉄人28号」のモニュメントが建立された。その臨場感あふれる巨大ロボットの“出現”は、往年のアニメファンたちの心を沸き立たせた。漫画家、横山光輝(1934~2004年)が、少年漫画雑誌に新連載漫画「鉄人28号」を1956年に初めて発表してから半世紀が過ぎていた…。先月号の「物語が始まる」で紹介したロボット・エンジニア、吉崎航さんは、横浜市で建造された「機動戦士ガンダム」の全長約18メートルの実物大ガンダムを動かすプロジェクトを実現させ、国内外のアニメファンを驚かせた。だが、横山が生み出した鉄人28号が、このガンダムやマジンガーZ、超時空要塞マクロスなど、その後、巨大ロボットが活躍する漫画やアニメに多大な影響を与えたことを、現代の漫画ファン、アニメファンは知っているだろうか?横山は1934年、神戸市須磨区に生まれた。地元中学校に進んだ頃から漫画を描き始め、「プロの漫画家になりたい」と、のめり込んだきっかけは、横山の故郷に近い宝塚で育った手塚治虫の存在だった。手塚の傑作「メトロポリス」を読んで衝撃を受けた横山は漫画に魅了され、神戸市立須磨高校へ進学すると、「漫画少年」「探検王」などの漫画誌に自作を投稿し始める。すでに在学中に複数の漫画誌に彼の作品が掲載されていたという。高校卒業後は、神戸銀行(現三井住友銀行)に就職するも、すぐに辞め、職を転々とする。だが、その間も漫画を描き続けていた。そして1955年、「音無しの剣」でプロの漫画家としてデビューを果たす。デビュー前の横山は、出版社の社長を介し、憧れの手塚と東横山光輝神戸で甦った鉄人…66年経っても色褪せないメッセージ神戸偉人伝外伝 ~知られざる偉業~㉛前編130

元のページ  ../index.html#130

このブックを見る