KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2022年10月号
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診者双方に感染リスクの低減というメリットがあります。この利点を生かして、ホテル療養中や自宅待機中の患者さんの健康観察、発熱患者のトリアージなど保険診療以外での活用、医師が感染あるいは濃厚接触者と認定された場合の診療も可能になります。パンデミック下でなくても、対面で診察しなくても問診である程度の診断が可能な場合は、リーズナブルである点もメリットです。また、移動困難な患者さんや、離島などのへき地の患者さん、専門医が近くにいない難病の患者さんなど、通院しにくい場合はメリットが大きいでしょうね。─逆に、どんな点に不安がありますか。飯山 大きく分けると、医療の質に関わる点、情報システムに関わる点、運営に関わる点が挙げられます。─なぜ伸びないのでしょうか。飯山 まず考えられるのは、日本では患者が受診したいと思ったときに自由に受診先を選ぶことができるフリーアクセスなので、すぐに医療機関にかかれるためにオンラインのニーズがあまりないということです。また、医療データのデジタル化や電子カルテの統一化が遅れていることも一因ではないでしょうか。 ─どのような世代の利用が多いのですか。飯山 電話診療、ネットを介したオンライン診療ともに、8割以上が50歳以下、約半分が30歳以下と若い世代が多い傾向があります(図2)。―そもそも、オンライン診療にはどのようなメリットがあるのでしょうか。飯山 特に今回のパンデミックの状況下においては、直接接触がないので医療関係者、受─医療の質に関してはいかがですか。飯山 接触ができないため触診や聴診ができず、血圧や心電図などの測定ができないためバイタルデータが得られないなど、患者さんの状態を十分に把握することが難しいことが考えられ、対面診療より早期発見が難しいばかりか、見落としや誤診の可能性は高くなるでしょう。また、見落としや誤診が発生した際の責任の所在や過失についても不安があるようです。オンラインでは対面よりもコミュニケーションが取りにくいためトラブルの不安もあります。─情報システムの面ではいかがですか。飯山 ハッキングや管理ミスなどによる個人情報の流出リスクを不安視する声があります。また、オンライン上では医師かどうかの確認が難しいので「なりすまし医師」の出現の可能性も考えられますし、逆98

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