KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2022年10月号
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『成長の限界』で─地球の未来に危機感―9月3日のNL/ROKKOオープニング・イベント前、今月の地図(ケーブル山上駅他で入手できる)を片手に3時間歩いて読書スポットを巡りましたが、それぞれ内容の違うZINEを読むのがとても刺激になりました。「ポスト資本主義社会の働く暮らし像」と銘打たれていますが、いつ頃から問題意識を持っていたのですか? 資本主義を肯定すべき点はもちろんあるのですが、考え直した方がいい時期にきているのではないかという提案をしています。もともとは大学時代に国際的な研究機関ローマ・クラブが1972年に発表した『成長の限界』を読み、地球の未来に危機感を覚えたことが根底にあります。アメリカの大学院でソーシャルエコロジー(社会生態学)を学んだとき、同級生もラディカル思想の人が多かったこともあり、自分自身の考え方がガラリと変わりました。―学生時代から危機感を抱いておられたんですね。大学院で専攻した都市計画では制度設計を学ぶのに加えて公務員育成的な意味合いが強かったのですが、行動を起こす立ち位置で学んだことを活かしたいと思い、民間企業に就職しました。ただそこは利益の追求が最優先される構造ですから、次第に違和感を覚えていったのです。アメリカの同時多発テロやリーマンショック、東日本大震災なども初心に帰るきっかけとなりました。大都会から─地方の時代を予測―神戸R不動産を開業した経緯は?大阪出身ですが大学時代の友達も多く、妻の勧めで神戸に住み始めると、すごく気持ちがいい場所だと実感しました。東日本大震災後は首都圏など大都会の時代ではなくなることが予測できたので、地方都市の神戸で、古くからの建物が住み手もなく寂れていくという社会問題に、外から移住する人をマッチングさせる。新しい建物を作る時代からリースする時代に移行していく。そのような新しい状況を捉えた住宅流通業として神戸R不動産をスタートさせました。―不動産事業だけでなく、「EAT LOCAL KOBE」で食に関する取り組みも行なっています。「EAT LOCAL KOBE31

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