KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2022年10月号
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harmonyVol.56はーもにぃ公益社団法人家庭養護促進協会事務局長橋本 明愛の手運動は親に育てられない子どもたちに、里親・養親を求める運動です。募金箱の設置にご協力いただける方は協会にご連絡ください。公益社団法人 家庭養護促進協会 神戸事務所神戸市中央区橘通3-4-1 神戸市総合福祉センター2FTEL.078-341-5046 https://ainote-kobe.orgE-MAIL:ainote@kjd.biglobe.ne.jp10月は里親月間です。この夏、「1640日の家族」というフランス映画が神戸でも上映されました。フランス語の原題は「本当の家族」となっています。映画のストーリーは、母親が死亡し、父親が一人で育てるのは難しいため生後18ヶ月で里親のアンナ夫妻に預けられたシモンが、里親と二人の実子とともに4年半暮らした頃、実父がシモンを引き取りたい、と申し出たことから、シモンは実父との交流を週末に定期的に始めるようになります。しかし、里親のアンナ夫妻としっかりと愛着が形成されているシモンが里親家庭から離れて実父と新しく絆を作っていくのは難しく、アンナはシモンを手放す事への喪失感、さみしさ、実父がシモンをしっかり育てられるのか、という不安や実父の対応へのいらだち、実父への不信感などの葛藤を抱え、シモンは里親と実父の狭間でどちらに顔を向けていればいいのか、戸惑い、不安定になっていきます。実父はシモンを引き取るために、里母のアンナに「これからはママと呼ばせないでほしい」と依頼し、シモンの気持ちを自分に向けさせようと努力します。こどもを実親家庭に帰すことを前提に一定期間養育する里親の立場の葛藤や難しさがよく描かれています。この作品は現在40代半ばのフェビアン・ゴルジュアール監督が自分自身の経験を元に脚本を書き、制作されました。監督の両親は里親で、子どもの頃、シモンのような小さな子どもが家に引き取られてきていたそうです。日本は欧米に比べてまだ施設で暮らす子どもたちが8割近くを占めており、シモンのように里親や小さなファミリーホームなどで生活している子どもは23%にすぎません。短い期間であっても、どの子どもも家庭で暮らす機会を持てるようにしたいものです。どこかでこの作品がまた上映されることがあれば、是非見てください。フランス映画「1640日の家族」を観ましたか?104

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