KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2022年10月号
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「こころの病気」とも言われる精神疾患。原因や症状はいくつもの要素が混じり合い、治療もどの部分に比重を置くかは患者さん一人一人違うそうです。今回は代表的な疾患で患者さんの数も多い統合失調症と気分障害について、青山慎介先生に詳しくお話を伺いました。 ―精神科神経科で主に扱う疾患は?阪神・淡路大震災以降はPTSDに代表されるような心的外傷による精神疾患、最近では小児期や青年期のインターネット・ゲーム障害、ギャンブル症も重要な治療課題です。高齢化により大きな問題になっている認知症にはセンターを開設して診療にあたっています。中でも重要な疾患の代表は今も昔も統合失調症、うつ病や双極性障害(躁うつ病)などの気分障害です。全国の病床数約170万床のうち約30万床が精神科病床で、多くが長期入院の統合失調症の患者さんです。―統合失調症という病気は回復までに長い時間がかかるということですか。必ずしもそうではないのですが、何かしらの障害が残ったり回復に時間がかかったりする場合もあります。初期の段階で最適な治療を行なって、十分に回復していただき、できるだけ早く住み慣れた場所で暮らしていけるようにするのが医学的な課題、精神疾患というハンディキャップを持っていても、望んだ場所で生活が送れる仕組みや体制を整えるのが社会的な課題です。―統合失調症とは何が起きてどんな症状が出るのですか。外界の情報をキャッチする知覚と、それを自分なりに考える思考回路が全体として統制が取れなくなる状態です。具体的には、耳で聞いた音や声を現実とは違うように知覚してしまう幻聴、本来自分が考えていることがうまくまと神大病院の魅力はココだ!Vol.14神戸大学医学部附属病院精神科神経科青山 慎介先生に聞きました。その1100

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