KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2022年9月号
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ばりです。起きてからしばらく手指の関節が動かしにくいことがあるなら、関節リウマチを疑う必要があります。―どんな検査で、どのように診断するのですか。症状が一番大切ですが、抗CCP抗体とリウマトイド因子という2種類の血液検査も参考にします。初期の段階のレントゲン検査で、ほんのわずかな骨の壊れた部分「骨びらん」を発見することもあり、こういったケースでは早めに強い治療を開始することが大切です。―治療法はどこまで進歩しているのですか。免疫に深く関わっている血液中のサイトカインという物質が影響していることは以前から分かっていましたが、その働きを阻害する生物学的製剤が開発されました。日本でも約20年前から使えるようになり治療が目覚ましく進歩しました。今では生物学的製剤は関節リウマチ以外の膠原病でも使われています。残念ながら完治に導くことはできませんが、病気のことをほとんど忘れて生活ができる寛解と呼ばれる状態に導くことは可能になりました。―生物学的製剤を使うことで、寛解できる病気になったのですね。ただし、この薬は免疫力を弱めることになりますから、リスクの高い患者さんには使用できません。飲み薬ではなく、患者さん自身が定期的に注射をしなくてはならず、副作用が出る場合もあります。治療費も高額になりますから、現段階では関節リウマチの患者さん全員に使える薬ではありません。使用が可能な患者さんの場合、自分に合う薬が見つかれば関節の変形が全く進行しないということも可能になりました。―合う生物学製剤が見つからなければ?痛みを和らげ、関節の変形の進行をできるだけ抑える薬を組み合わせて服用することになります。生物学的製剤のように革命的とはいえないまでも、これらの薬も着実に進歩しています。JAK阻害薬という新薬も登場しました。関節リウマチは以前のように発症したら一生苦しみ続けるしかないというような怖い病気ではなくなりつつあります。―治療のほとんどが薬によるものですか。関節リウマチは、最近は40~50代以降に発症する方が多いです。例えば膝関節や股関節が変形して歩けなくなってしまうと、その後のQOLを大きく低下させ、認知症のリスクなども高まります。そこで、整形外科の先生の協力を得て外科的手術で関節の変形を治療することもあります。―どんな人が関節リウマチになりやすいのでしょうか。遺伝もあるのですか。原因が分からないのでどんな人がなりやすいかは限定で86

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