クトしたり、いまだったらこうしたら格好良くなるんじゃないですかという提案をしてきましたが、ものすごく頭を使いましたよ(笑)。若林 僕からのオーダーは「何か合うのある?」だけ(笑)。永田 たとえばこの椅子の生地。最初赤を選んでもらっていたのですけれど、ここでもう一度話をしている中で僕が「赤やめたほうがいいですね」と。それで黄色になったんです。いろいろなプロが関わる場に、僕も関わらせてもらったのはすごく楽しい経験でした。若林 リメイクしてここまで素晴らしいものになるということは、逆に永田さんに教えてもらったんですよ。この椅子は今回、脚の長さを足したのですが、昔短かったのはなぜかというと、畳の上に置いていたからなんですよ。永田 そうですね、座卓のように。和洋折衷で。若林 テーブルも低かったんで嵩を上げたんですよ。昔の人は身長が低かったから。物を生き返らせ、そこに魂が生まれると、人間の感性も良くなるし、何だか落ち着くものになる。家具も、建物もそうです。長尾 永田さんはセッションですと、最後の奏者なんですよ。ほかが決まっていった中ですから、一番大変なんですね。ですから申し訳ないですけれど、永田さんがどう苦労するかを傍目に楽しんでいました(笑)。最初ちょっとやりとりして、この人は信頼しても大丈夫だと思っていたので、何の心配もなかったですけど。永田 僕自身も六甲幼稚園の卒園生なんですよ。ここはもともと個人宅なので何があるのかわからなかったし、園児は入れないんですよ、何度か侵入を試みましたが(笑)。そんな場所に入って仕事をさせてもらって、ワクワクしながらやっていました。ブビンガみたいな個性の強い木を使っていたので、ありきたりの提案では「面白くない」と言われるだろうし、普通の感覚でやってもアカンなと(笑)。─出来上がった感想はいかがですか。若林 先祖が遺したものに、日本を代表するプロ中のプロが手を加えると、こんなに素晴らしいものができるんだなと、自分が毎日ここに入るたびに思います。あとは、ここではいろいろなお教室に貸しているのですけれど、講師や生徒のみなさんも落ち着いて、幸せになれる。「ありがとうございます」と心から言ってもらえる。何かそういう力が、空間にあるのだと思いましたね。時間が経つと味わいが増すので、まだ完成ではなく、これからもっと良いクオリティになっていくのが楽しみです。子どもたちに本物を五感で感じてもらうのも教育、いろいろなものを比べる基本になるのではないかと思います。長尾 本物を、本物の職人が手がけた訳ですが、今回も学生からプロの職人までいろいろな人が作業を見学に来ましたけれど、こういうプロジェクトがあ子どもたちに本物を30
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