KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2022年9月号
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んですよ」と笑いながら教えてくれた。高専卒業後は千葉大学工学部へ進学。奈良先端科学技術大学院などを経て、現在のアスラテックの立ち上げにかかわる。その間20年以上を費やし、一貫して「V-Sido」の研究開発を進め、精度を磨き上げてきた。 ロボット技術の未来 巨大ロボットのイベントでは、小学生たちが遠隔操作でロボットの指を動かす実験が行われ、注目を集めた。「このときは、小学生でも簡単に操作できるようグローブ型のコントローラーを作りました。グローブをはめて指を動かせば、巨大なロボットの指も同じように動く。つまり操縦者を選ばない。誰もが自在にロボットを動かす時代が、もう夢ではないことを伝えたかったから」マクロス展の会場には、40年前にアニメを見ていた大人世代た結果、ある一つの答えに辿り着いたという。「さまざまな科学領域、技術の発展によって、現実に巨大ロボットを動かす可能性が高まってきていましたが、当時の技術で、ロボットを動かすために唯一、足りないものがありました…。それが、ロボットを自動制御して動かすソフトウエアであることに気づいたんです」当時14歳。中学校の自由研究で、この答えを導き出したのだという。これが、「V-Sido」の原点となる。吉崎さんは、地元の中学校を卒業後、徳山工業高等専門学校(徳山高専)へ進学。〝ロボコン〟の愛称で親しまれる「アイデア対決・全国高等専門学校ロボットコンテスト」の出場常連の強豪校だ。2003年、女優の長澤まさみが、ロボコン出場を目指す高専生を演じた映画「ロボコン」が公開されたが、「この映画のロケは徳山高専で行われたんですよ。当時、私は部長で、実は映画にも出演していると、その子供たちの世代が、まさに「時代」(とき)を超えて訪れている。「マクロスのアニメを見たことのない子供たちも、『V-Sido』で動く巨大宇宙戦艦を見て、ロボットに興味を持ち、そこからロボットに関わる仕事にも興味をもってもらえたら。もうロボットはアニメの世界の存在だけではないのです」構想中のロボットプロジェクトがまだまだあるというから楽しみだ。(戸津井康之)吉崎 航(よしざき わたる)1985年8月11日生まれ。山口県山口市出身。ロボット制御システム"V-Sido"(ブシドー)の開発者で、日本でも有数なロボット技術者として知られている。2009年、経産省所管の IPA (独立行政法人情報処理推進機構)が実施した「未踏 IT 人材発掘・育成事業」に吉崎のプロジェクト「人型ロボットのための演技指導ソフト」が採択され、"V-Sido"として発表。その成果により、特に優れた人材として経産省から「スーパークリエータ」に認定される。2013年 7 月より アスラテック株式会社チーフロボットクリエイターに就任し、現職。同社にて"V-Sido"関連のビジネスを展開している。ロボット関連の講演も数多く、広くロボットの普及に努めている。 22

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