KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2022年9月号
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なかった過酷な耐久試験のようなプロジェクトでもあるんです」常に未知のロボットプロジェクトに挑み続けてきた吉崎さんにとっても、今回は、よりハードルの高いチャレンジングなプロジェクトであることが分かる。宇宙船前方部から2本のアーム(腕)が伸び、艦橋が突き出て頭部となり、後方部からは2本の脚部が飛び出し、ロボット形態へと変形してゆく。この複雑な動きを、いとも簡単にやってのけるマクロスの姿はまるで自らの意思を持って動いているかのようで、見ていて感動を覚える。アニメの中でしか、見たことのなかった、あの大掛かりなトランスフォーメーションが現実に目の前で再現されていくのだから…。ゆっくりと時間をかけながら変形してゆくさまは、全長約1200メートルの〝超時空要塞〟が宇宙空間の中で変形していくリアルさをそのまま表現した凝りようだ。「速くもなく、遅くもなく。アニメで描かれていた、緩やかなスピードで動かすことは今回変形!マクロスロボ!」と称された模型は、天神英貴(マクロスビジュアルアーティスト)発案のもと、吉崎さんとの幾度にわたる打ち合わせにより企画が進行した。模型の中に「V-Sido」が搭載され、内部に組み込まれた15個の小型モーターを自動制御で動かしながら、次々と変形していく宇宙戦艦を再現。来場者たちをアニメの世界へと誘っていた…。宇宙を航行する「マクロス」は、全長約1200メートルもある巨大宇宙戦艦。巨人の異星人と戦うため、戦闘状態になると軍艦の形状である「要塞艦」から、人型のロボット兵器の形状である「強攻型」へと変形(トランスフォーメーション)する。会場の展示ブースの後方に設置されたモニターに映し出されるアニメ映像と連動して、このマクロスの模型が動くのだ。「映像に合わせて毎日約7時間、展示期間中、約4カ月間という長期にわたり、故障することなくマクロスを動かさなくてはいけません。これは、かつて市の「宝塚市立手塚治虫記念館」で開催中の企画展「マクロス放送40周年記念 超時空要塞マクロス展」。この会場に吉崎さんがいた。今から40年前の1982年にテレビ放映がスタートした人気アニメ「超時空要塞マクロス」。この中に登場する主力メカである巨大宇宙戦艦「マクロス」の全長約70センチの模型が会場のメーンスペースに展示されているのだが、これがただの縮尺模型ではなかった…。「self-transforming SDF-1 20

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