KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2022年9月号
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の仕事はこれに向き合うこと。日々いっぱいいっぱいになります。 横尾さんは「学芸員は頭でっかち」なんて言いますが「横尾さんの作品がそうさせるんです」と返したい(笑) 。小野 読み解きたくなるようなものが描いてあるんですよね(笑)。横尾さんは「理性を捨て去り感覚を大切に」と話されますが…。ミッキーや知っている人物が描いてあるとつい、そこにある意味を考えてしまう。 学校では西洋美術史などを学んで答えを求める研究をして感とか感覚の人。平林 数年前、横尾さんが「平林さんはそのままで突っ走ればいいよ」と言ってくださったので、その日から私は自信を持ってこのままいくことにしました。山本 僕、そんないいこと言ってもらったことあったかな。─山本さんが担当された開館記念展のこと「美術館の自由のキャパを拡大した」と褒めていますよ。山本 「反反復復反復」ですね。開館記念はすごく悩みました。すごい量の案を出したけど、ことごとく却下。華々しい門出だからカッコよく決めたいと思ったんですけど。結局は「反反復復反復」、横尾さんの案なんですよ。平林 山本さんがカッコイイものばかり持っていくから、横尾さんは壊したくなるんじゃないかな。次の「Y字路」展も「ワーイ!★Y字路」なんてふざけた調子のタイトルをつけられましたよね。山本 どんなタイトルにしても、きたのに、正解がないものに対する戸惑いを感じることがあります。徒労感というか。平林 作品に多くのネタが詰まっているから、作品について話はたくさんできます。ただ、一周まわって意味がわからない。美術館に来られるお客様は、絵を楽しむだけでなく、何か知りたいと思っている方が多いように思うので、楽しんでいただくためのお手伝いはできますね。─登場回数は山本さんが多く、平林さんは「考古学者」と言われています。昨年異動してこられた小野さんはこれからが楽しみですね。平林 横尾さんの中でのキャラ付けがあるかもしれませんね。たとえば、大きな話の窓口や論理的な文章は山本さんに任せれば大丈夫とか。私は理知的なことは求められていないと思う(笑)。山本 平林さんは3人の中で1番のオタクだから、求められていることは確かに違うね。「続・Y字路」「ヨコオ・マニアリスム」で平林さんのキャラは決定した。直15

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