KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2022年9月号
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今回から和室には欠かせない畳についてご紹介していきます。畳の発祥は日本です。もとは読んで字の如く、折り畳める敷物のすべてのことを意味したようで、古事記や万葉集にも出てきますが、これらは草や毛を織った敷物だと考えられます。日本の家屋はもともと床が板張りで、その上にい草やがまで編んだござを敷いていましたが、快適に過ごすためクッション性のある敷物が必要になったのでしょう。平安時代にござの下に藁をつけた厚みのある褥しとねが登場しますが、これがい草を編んだ畳表と藁でつくった畳床を合わせた現在の畳の原型のようです(諸説あり)。褥は当初、主に寝具として使われていたようで、現代人がフローリングにベッドを置くような感覚で板の間に1枚だけ敷いていましたが、やがて部屋の中でスペースを拡大していき、平安時代末期になると住居の中に1部屋は畳を敷き詰めた部屋=書院が設けられます。鎌倉時代から室町時代にかけて書院造りが定着すると平尾工務店木のすまいプロジェクト失われつつある日本伝統の建築文化を未来へ。連綿と受け継がれてきた匠たちの仕事をご紹介します。瓦編|Vol.8畳の歴史126

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