KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2022年8月号
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伊藤先生にしつもんQ.医学の道を志したのはなぜ?A.小学生のとき、ブラックジャックを読んで医者になろうと決めました。ところが成績が思うようにあがらなくてね。高校生で諦めかけたとき、柳田邦男の『がん回廊の朝(あした)』という本を読んで衝撃を受け、「やっぱり医者になろう!」と、がぜん勉強を始めました。もう一つのきっかけが、子どものころ親から買ってもらった顕微鏡です。おもしろくて夢中になりました。この原体験が、子どもたちへの情報発信に力を入れようと思うようになっているのかもしれません。Q.子どもたちを楽しませるのが上手ですね。A.そんな才能があるとは思ってもいなかったのですが、子どもが小さいころ、町内の夏祭りで盆踊りの司会をやったら大ウケ(笑)。自分の中の「おもしろいおじさん」が目覚めてしまい、今では子どもたちをワーワー喜ばせるのが大好きです。Q.日頃のリラックス法は?A.家族の笑顔を見ながら家でリラックスすることかな。カメラやアウトドアなど多趣味なので一人で没頭することもあります。家族もそれを理解してくれていてありがたいなあと思っています。Q.外科医志望からなぜ病理医に転向したのですか。A.外科医になるために医学部に入りましたが、大学4年のとき、外科医になるには病理学の勉強が役に立つと考え、病理学教室に通い始めました。病理医の診断を基に周りの全てが動いていて、医療の中心になっていることを初めて知り、病理の魅力にすっかりとりつかれ、外科の先生に「病理に行きます」と報告しました。「裏切り者!」と言いながら、笑顔で「病理なら許す!よろしくお願いします」と言ってもらったことは一生忘れられない思い出です。れからの病理診断に大きく寄与するものだと思っています。AIが導入される可能性もありますが、病気を探す段階で補助にはなっても診断において病理医と置き換わるということはないでしょうね。私たち病理医がまだまだ経験を積み、患者さんにとっての最善の治療のために頑張らなくてはね。あくまでも、縁の下で(笑)。95

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