KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2022年8月号
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経済学・経営学の世界的権威、P.F.ドラッガー教授が絶賛したマーケティングと流通を専門とする世界最初の大学最後にもう一度、本日ここで講演する機会を与えられたことは、私にとって非常な喜びであることを申し上げたい。なぜならば、この大学はマーケティングと流通を専門とする世界最初の大学だからである。今日、最も多くのことを学べる大学だからである。今や突如として、あらゆる先進国において、流通が経済の中核の力を握るにいたった。しかるにわれわれは、これまであまり流通に注意を払わないできすぎた。経済学は、今日にいたるも生産や消費を論じる。これに対し、この大学では、流通について論じている。このような所は、他にない。したがってこの大学が行っていることは、一つの偉業である。P.F.ドラッガー(日本語訳 上田惇生)P.F.ドラッガー博士講演(1996年10月18日 於:流通科学大学)より抜粋は変化として大きいが、日本には明治時代や戦後に過激な変化を経験した経緯があるし、社会全体ではなくごくわずかな企業がパイオニアとして成功すれば良い、と。しかし、そのためには多大なエネルギーと多大な献身を要するというドラッカーの返答に、㓛は果たすべき責任と役割を改めて認識、「重大な責務とともに、魅力ある挑戦を感じます」と感じ入るとともに、「仕事において成果をあげるべき一人ひとりの働く人間が自らに課せられた責任を認識するか否かが日本の再活性化の鍵である」と課題を挙げた。二人のやりとりは四半世紀以上の時を経て、いまなお私たちに大きな示唆、そして未来への行動のヒントを与えてくれる。生涯、学ぶことを怠らなかった㓛の情熱が伝わってくる。参考文献『往復書簡 P・F・ドラッカー中内 㓛 挑戦の時』ダイヤモンド社85

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