KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2022年8月号
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昭和32年、京阪千林駅前にオープンした「主婦の店ダイエー」昭和38年にオープンしたダイエー三宮1号店は、父方の祖父の名前が「栄」ということと、大阪から栄えるということだったからで、この二つを組み合わせて、ダイエーとした。大いに栄えるという意味も含まれているという。経営者としての㓛は、浪花節的に人情に厚いところもあり、「この人について行こう」と思わせる人間的魅力があったという。そして、会社が大きくなっても奢ることなく、読書量は膨大で、生の情報を自らの足で稼ぐことも怠らなかった。知らない街へ行くと、㓛は必ず高いところへ行き、どこに人が多く集まるか、昔の街道はどの道かなど地域を観察。市場へもよく通って、その土地の嗜好を探った。ちなみに、映画好きの文化人という一面もあった。幼少の頃から過ごし、事業の原点となった神戸には、ただならぬ愛着を持っていた。㓛にとって神戸に創設された海軍操練所で活躍した坂本龍馬は特別な神戸への思い流通科学大学への思い存在でもあった。神戸の地から世界をめざした龍馬の姿に、自身の姿を重ね合わせたのだろう。三宮のみならず、ダイエーは神戸の各エリアの核や、地域開発拠点に出店し、住民の生活を支え、地元経済を活性化し、まちづくりにも貢献した。神戸の財界のリーダーとしても活動。後進の経営者を育てるいわゆる「中内学校」での討論を楽しみにし、勉強会や研修旅行を通じて「終生勉強」の姿勢を伝えることにも熱心だった。㓛を囲んだメンバーたちは、現在でも神戸71

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