KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2022年8月号
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生い立ちと従軍近藤英也校長との出会い中内㓛 生誕100年特集大正11年(1922)、中内㓛は8月2日に大阪で生まれた。父は「世界一の商社」といわれた鈴木商店に勤めたが、薬剤師免許を生かして大阪で独立、大正15年(1926)に神戸へ移り「サカエ薬局」を開業した。その名は、㓛の祖父、中内栄からとったという。栄は高知県、現在の中土佐町の生まれで、長曾我部氏の遺臣にあたる郷士であった。栄は眼科医だったが、その患者の一人に、現在のコープこうべを創設した賀川豊彦がいた。土佐は熱く進取の気風あふれる土地柄で、坂本龍馬、岩崎弥太郎らが輩出した。やがて流通という航路を切り拓く㓛の運命は、必然だったのかもしれない。「サカエ薬局」は、川崎重工の門前にあった。ビリケンさんで知流通革命を成し遂げ、戦後の日本を変えた男、中内㓛。大阪生まれの神戸育ち。㓛にとって神戸の街は特別な地でもあった。一人の人間としての側面と波瀾万丈の人生は一記事でとうてい書き切れるものではないが、ここでは生い立ちや神戸との関わりについてふれてみたい。「人間、中内㓛とは」平和を願い、流通革命という『願』に生きた昭和9年、神戸三中(現在の兵庫県立長田高等学校)へ入学68

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