KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2022年8月号
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ていましたよ。延期によって製作費をだいぶ使ってしまっていたため、どうやったらシナリオの中で人間ドラマとして深く描くことができるのか、悩みに悩みました。また、コロナに対応するため、撮影の規模と仕方を変えました」エキストラの人数やコロナ対策、ロケ地選びやスタッフ、キャストのスケジュール調整など、課題は山積し、試行錯誤は続いた。「最終的に計16稿まで脚本を書き直すことになりました」と苦闘の様子を明かすが、時間をかけながら細部にまで魂を込めた脚本に仕上げた。劇中の印象的な場面に往年の名女優、香川京子が登場する。沖縄戦で看護婦として最前線に立ち続けた「ひめゆり学徒隊」を描いた戦争映画「ひめゆりの塔」(1953年)の中で、看護婦の一人を演じたのが香川さんだった。「沖縄戦を映画で撮るのですから、〝ひめゆり〟を演じた神戸新聞社、荒井の故郷の下野新聞社、沖縄の沖縄タイムズ、琉球新報などの協力も取り付けていった。毎日新聞が初めて映画を配給することも決まった。撮影再開への執念映画の撮影が休止されている期間中、監督として何をしていたのだろうか。「ひたすら脚本を書き直し19

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