KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2022年8月号
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の役割と、そこで鍛刀した逸見東洋の奉納刀と、吹屋ベンガラからのメッセージ」と題した講演をいたします。またその際、東洋が境内で一夜にしてうった最後の刀を間近でご覧いただけるようにご披露いたします。 つきましては、今村様に、東洋、最高峰の刀を直にご覧いただきたく、ご招待申し上げたく、ご連絡させていただきました。》わたしは残念ながらほかに予定があって行けなかったのだが、逸見夫人の知鶴子さんは、娘さんなど四人の親族で出席し、初対面の親戚にも会えたとのこと。盛会だったという。「感激しました。わたしどもの先祖がそんなに凄い人だとは知りませんでした。行ってみてビックリでした。東洋がうったという神社に伝わる刀も見せて頂きました。感動しました。主人は本ばっかり読んでいる寡黙な人でしたから、わたしたちにちゃんと伝えてくれてなかったんです。わたしも『逸見東洋の世界』は読んでましたし、テレビ番組も見ましたが、それほど凄い人だとは思ってなかったんです」と。そういえば、わたしが東洋と憲一さんの関係を知ったのも、憲一さん本人からではなく、その知人を通してだった。シャイな人だったのだ。講演終了後、畑野さんから届いたメールの一部。《憲一様のご家族は、お家に残る東洋にまつわる御品をわざわざご持参下さり、ご披露してくださいました。また、大学生の来孫様が卒論に「逸見東洋」をご研究なさっておられるとのこと。館長も大変感動し、「こんな偶然があるだろうか」と驚いておりました。 このような素晴らしいご縁をいただき、つないでくださいましたことに心から感謝し、御礼申し上げます。》ご遺族につなぐことができて良かった。これもひとえに「きび美ミュージアム」の学芸員、畑野さんのお手柄だ。しかし惜しいことだった。この催しがもう少し早く行われていたなら、憲一さんも大いに喜ばれただろうに。(実寸タテ10.5㎝ × ヨコ5㎝)■今村欣史(いまむら・きんじ)一九四三年兵庫県生まれ。兵庫県現代詩協会会員。「半どんの会」会員。西宮芸術文化協会会員。著書に『触媒のうた』―宮崎修二朗翁の文学史秘話―(神戸新聞総合出版センター)、『コーヒーカップの耳』(編集工房ノア)、『完本 コーヒーカップの耳』(朝日新聞出版)ほか。■六車明峰(むぐるま・めいほう)一九五五年香川県生まれ。名筆研究会・編集人。「半どんの会」会計。こうべ芸文会員。神戸新聞明石文化教室講師。109

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