KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2022年7月号
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しました。国を挙げて「紫外線が皮膚がんを起こす」というキャンペーンを行ったところ、皮膚がんの患者さんはかなり減りました。赤道付近に住む民族は濃い肌の色を生まれつき持っていて、強い紫外線から肌を守り皮膚がんを防いでいます。一方、骨を作るためのビタミンDは、皮膚で適量の紫外線によって作られます。北ヨーロッパをはじめ、紫外線が弱い地域で暮らす人たちにとっては、紫外線を吸収しやすい白い肌が必要なのです。白い肌の人々がオーストラリアのような紫外線の強い地域に移住したため、皮膚がんの原因になったのです。―「ほくろのような皮膚がん」といわれているメラノーマも紫外線が原因ですか。西洋人のメラノーマには紫外線が関わっていますが、日本人のメラノーマのはっきりとした原因は解明されていません。日本人では手のひらや足の裏にできることが多いです。特に足の裏は気付きにくいので、早期発見、早期治療が重要です。発見が遅いと、既に転移しているケースもあります。皮膚科専門医が専用の拡大鏡を使い観察すれば模様のパターンから診断できます。小さなうちなら検査を兼ねて切り取れば、治療は完了します。今はクリニックや大学の関連病院のホームページなどに情報が詳しく出ています。皮膚科の専門医資格を持っておられる先生にまずは診てもらうことをお勧めします。大学病院での診療が必要であれば、紹介していただけます。―皮膚の病気の治療法は進んでいるのですね。目覚ましく進歩しています。江戸時代なら確実に死に至ったといわれる天疱瘡では、自分で自分を攻撃してしまう自己免疫をステロイドで抑えられるようになり、生き延びられるようになりました。最新のものでは自分を攻撃する細胞そのものを狙い撃ちしてやっつけてしまう薬が開発され、完治の可能性も開けてきています。 一方、水疱症には生まれつきのものもあります。全身の皮膚に水ぶくれができ続ける、とても辛い病気です。そんな生まれつきの水疱症で、たまたま原因となる遺伝子の傷が突然変異で治ってしまい、皮膚の一部分で水ぶくれが起こらなくなる現象があることが分かってきました。遺伝子の傷がたまたま治った皮膚が生まれてくれれば、そこから培養細胞を育てて表皮のシートを作って、病気の皮膚と貼り替えていくことができるのです。ほぼ全身の皮膚を水ぶくれが起こらない皮膚と置き換えることができた患者さんがいます。自然に治る皮膚が生まれてきたことは本当に奇蹟のようで「神様からのごほうび」としか思えないケースですね。―日頃から誰でもできる皮膚の守り方は。保湿をして肌を良い状態に保つこと。特に空気が乾燥する暖房器具には注意が必要です。炎症などが起きているときは早めに専門医を受診して完治させること。皮膚がんの原因は紫外線とお話ししましたが、紫外線全てがワルモノというわけではなく、ある96

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