私たちの身近にある皮膚科ですが、意外と知らないことが多いようです。皮膚の病気のこと、治療法や予防法など興味深いお話を聞かせていただきました。―皮膚にはどういった病気があるのですか。皮膚科は歴史が長く、また病変を目で見て確認でき、組織を取ってすぐに検査できるなど理由があるのでしょうか、病名は非常に多くて500種類とも1000種類ともいわれています。かさつく、かゆいなどといったお肌の悩みから、命に関わる病気までさまざまです。例を挙げると、全身に水ぶくれができる水疱症、主に手のひらや足の裏に膿(うみ)が溜まった白い水ぶくれができる膿疱症、角化症、白皮症、メラノーマなどの皮膚がん、薬のアレルギー反応で起きる薬疹などなど、きりがないほど多くの病気があります。―皮膚の病気が命に関わるのですか。命に関わる病気の代表は皮膚がんです。黒いメラノーマだけでなく、皮膚を覆う表皮をつくる細胞や血管を作る細胞、神経、リンパ球など、皮膚を構成するさまざまな細胞が「がん」になります。早期に気付いて治療をしなければ、血液やリンパの流れにのって全身に転移し、最終的に命に関わります。また、水疱症の中でも自己免疫疾患の一種「天疱瘡(てんぽうそう)」は全身に水ぶくれができ、水ぶくれが破れてびらんになります。すると、体液や栄養分がどんどん漏れ出していき、さらにそこで菌が繁殖して感染症が起きます。同じような症状が、重度の薬疹などで全身に起きてしまう場合も命に関わります。―アトピー性皮膚炎について教えてください。皮膚の角質バリアが生まれつき弱い乾燥肌が発症要因のひとつです。またご両親に喘息などのアレルギー疾患があると、アトピー性皮膚炎になるリスクが高いです。生まれつき角質が弱い人でも温暖で湿潤な環境下では角質バリアは壊れにくいのですが、乾燥した環境下では角質バリ神大病院の魅力はココだ!Vol.11神戸大学医学部附属病院皮膚科久保 亮治先生に聞きました。94
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