KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2022年7月号
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るのは仕方のないことなので覚悟していましたけれど」そんな自身の経験を生かして、農薬や化学肥料を使わない有機肥料を中心とした野菜の栽培だけでなく、農村での暮らしや地域との関わり方などを伝えながら、淡河で実践を重ねています。「半年ごとのプレゼンではみなさんに今後農業とどう携わっていくかをお話ししていただくのですが、ほとんどの人が半年後と1年後で気持ちが変わります。嬉しいのは、今後淡河やそのほかの神戸の農地に何かしら関わってみたいと感じてくれること。農業だけではなく最終的には神戸の農村部に人が増えることが一番の底上げになってくれると感じています。また、卒業後はきっとスーパーや農村に行った時の感じる思いにも変化があると思います」「自身の仕事+α農業」の新しいカタチが増加中「このスクールは、私が通っていた学校のように就農率を上げ森本聖子(もりもと しょうこ)さん北区出身。旅行代理店に勤務後、専業農家に転身。現在は淡河町に移住して専業農家としての暮らしを営みながら、マイクロファーマーズスクールでは自身の経験を生かして講師として活躍中。膝に乗るのは、愛犬のダリちゃん。EAT LOCAL KOBEのHPはこちらようと意気込むようなものとはまた違います。死ぬまでずっと食べ続ける作物の作り方を学び、しかもそれが農薬を使わない栽培ならどれだけ作るのが大変なのかということを実感してもらえるんですよね」森本さんが近頃いいなと感じているのは、今の仕事と農業をうまく絡める受講生が多いことだとか。「ヨガの先生をしている人が野菜を教室で販売したり、福祉のお仕事をしている人が給食に野菜を使ったり、飲食店を経営している人もいます。今のお仕事に農業を上手に絡めていていいなと思うんですよね。みなさん口を揃えて言うのが、『自分の食べるものぐらいは自分で作りたい』ということ。自分や家族の分ぐらいであれば少しの面積でも叶いますし、近頃野菜が高いなんて言わなくてもすみますよね」さらに森本さんはあまり意識していなかったと言いますが、土と触れることでメンタルにもいい影響があるという説も。「言われてみれば、会社勤めしながら貸し農園に通っていた時は大変だったけれど帰る頃には心がスッキリとしていて。きっと自然に癒やされていたんだろうなと思います」EAT LOCAL KOBEの運営者である小泉亜由美さんからは「農業のハードルを下げる担当と言われています(笑)」と笑う森本さん。「神戸にマイクロファーマーが増えたら面白い街になるだろうなと思います」。そんな優しい眼差しと森本さんだからこその経験が、神戸の街に息吹く新たな可能性の芽を今後も育てていきます。43

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