KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2022年7月号
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きっかけはプランター菜園会社員から農家に転身神戸の街から車で約30分。農家の森本さんが手がける約40アールの畑があるのは、美しい里山に囲まれた自然豊かな淡河町。「これはクラフトビールの原料になるホップです。ちょっと嗅いでみますか?」。少量多品種を育てる畑に案内してもらうと、爽やかな香りのホップや春キャベツ、ブロッコリー、珍しい品種の野菜まで、愛情を込めて作られた様々な作物が。農家になって11年。聞けば、農家に生まれ育ったというわけではなく、以前は旅行代理店に勤務していたそう。なぜこの道へ進んだのでしょう?「会社員時代に、プランター栽培にハマったんです。まずはハーブなど育てやすいものからスタートして、次第に家のベランダでは手狭になりました。そこで貸し農園を借りてみたいと思うようになって」。そして検索で偶然ヒットしたのが、ここ淡河町の農園。1年足らずで農園を借りて、当時住んでいた兵庫区の自宅と淡河の畑を行き来する生活へ。会社員をしながらも、農への興味がますます膨らんでいったといいます。農家になるには? とネットで調べてみても、全然わからない。でも、もっと農業の勉強がしてみたい。そんな思いを胸に、三宮の就農講座へ。最終的には仕事を辞めて兵庫県楽農生活センターが開く1年間の新規就農養成講座を経て、淡河町に就農することになりました。  「仕事は楽しかったけれど、目に見えるものを売る仕事や手に職をつけることに内心憧れていたんです」。30歳というタイミングも良かったと当時を振り返ります。「チャレンジするなら今かなって。無理だったとしてもまた以前の仕事に戻れるかもと考えていたので、思い切った感覚ではなかったですね。もっと普通は悩むんでしょうけど(笑)」 神戸ならではの立地を生かして〝小さな兼業農家〟をサポート農業を学んでみたい人や、農業以外の仕事と両立させるマイクロファーマーを目指す人、それよりももっと小規模であっても農業で収入を得てみたい人。EAT LOCAL KOBEが主宰する「マイクロファーマーズスクール」では農業へのハードルを一段階下げて、誰もが小さな兼業農家を目指すことができるような環境をサポート。また、農業や食、環境に関心を寄せる若い世代が農と触れ合う学生向けの「マイクロファーマーズユース」も並行して開校し、未来を担う世代にも門戸を開きます。森本さんはその2つのスクールで自身の経験を生かして、講師としても農の知識や楽しさ、リアルを伝えています。41

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