KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2022年7月号
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三好 ホテルで貸し農園を手掛けようと考えられたきっかけから教えてください。西橋 2013年、ホテル2階に「シェラトンマルシェ」というフードセレクトショップを開業し、地元神戸や近郊の農家さんが育てた野菜の販売を始めたんです。当時はまだ生産者直販という形態は珍しかったものの、神戸市が「EAT LOCAL KOBE」といって地産地消のプラットフォームを作成したり、ニーズの合う店舗と直接取引される、大皿さんのような農家さんがちらほら出てきた時期で、お客様も野菜を購入する際にはどこで誰が作ったのかといった食の安全を意識するようになってきていました。そこで当マルシェが双方をおつなぎするような役目をすればいいのではないかと考えたのです。神戸っ子の私自身、まだ知らない美味しいものがたくさんあるとわかり、「神戸の方にローカルの美味しさを紹介する」というコンセプトでお店を運営。買い物がない日も足を運んでくださる地元の高齢者の方がいて、ホテルは宿泊者のみならず、地元の方へのおもてなしや憩い・交流の場としての役割もあると気づきました。三好 県外からの宿泊者ではなく地元の方に対して、というのが面白いですね。西橋 特に六甲アイランドには外国人の方をはじめ、食への意識が高い方が多かったこともあり、店に有機野菜を出荷いただいていた大皿さんに依頼し、店頭で月に1回、オーガニックマルシェも開催、さらに「ビオクリエイターズ」の有機農家さん達も紹介していただくなどして、輪を広げていきました。大皿 「シェラトンマルシェ」の開店2年後に東遊園地の「ファーマーズマーケット」が始まるなど、神戸における「生産者と消費者をつなぐ」動きが活発化していきましたよね。三好 いわば、先駆者的な存在なんですね。六甲ライナーがすぐ横を走る、建築家の安藤忠雄さん設計の建物の屋上。入口まではスロープが続き、ベビーカーを利用する人も行きやすい消費者と生産者のかけはし33

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