KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2022年7月号
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ザン映画を彷彿とするターザンの雄叫びが流れて、血沸き肉躍るという野生回帰的な雰囲気が演出された。僕の作品の多義性がジャングルの密林を表しているというやや苦しいコジツケだが、こうした世界は僕の幼少年期のアイドルであるターザンと、少年時代に読んだ南洋一郎の密林冒険小説、ことに和製ターザン「バルーバーの冒険」は、今も僕の作品の根底で雄叫びを上げている。ターザンやバルーバーは文明社会から離脱した密林を舞台に大活躍するその奮闘振りが、そのまま僕の中で血肉化して創造の核になっているインファンティリズム(幼児性)を掻き立てずにはおれない。創造はある意味で自分の中の子供への回帰を促す。子供の精神の中には、物語を創神戸で始まって 神戸で終る ㉙「JUNGLE」というキーワードは、僕の多義的な表現がジャングルの群生を象徴しているところと、僕の永遠のヒーローであるターザンの世界を結びつけて名付けたタイトルである。そうした理由から、会場にはター第17回展は「HANGA JUNGLE」。本展の担当キュレイターは山本淳夫さん。この「HANGA JUNGLE」は町田市立国際版画美術館との共同企画による巡回展であった。Tadanori Yokoo美術家横尾 忠則撮影:山田 ミユキ横尾忠則 HANGA JUNGLE2017年 横尾忠則現代美術館 ※会期延長-2018年2月4日(日)14

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