KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2022年6月号
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病理医の研修を通じてカンボジアの医療の発展を神戸大学医学部付属病院 病診断科・医学研究科病理診断学分野教授・伊藤智雄病理部長国際ロータリー第2680地区・ 吉岡博忠ガバナー国際ロータリー第2680地区神戸東ロータリークラブをはじめとする国際ロータリー第2680地区の16のロータリークラブが、カンボジアのプノンペン・メトロロータリークラブをパートナーとしてカンボジア病理医育成支援プロジェクトを立ち上げ、4月22日に神戸メリケンパークオリエンタルホテルで研修発表会を開催した。カンボジアの医療環境はまだまだ整備途上で、医療機関も医師も充実が望まれている一方、経済成長により生活習慣病やがんへの対策が課題となっているが、がん治療では検体から悪性・良性の判断や治療法に繋がるがんの特性の診断をおこなう病理医が不可欠だ。そこで、プロジェクトではカンボジアから優秀な6名の病理医を招き、神戸大学医学部やその附属病院で研修の機会を提供、最新の診断技術を学びノウハウを持ち帰ってもらい、ひいてはカンボジアの医療に寄与することを目標としている。ロータリークラブでは2年前にもカンボジアの病理技師の研修をおこなっており、今回はそれに続く事業となった。4月8日に来日した病理医は自主隔離期間もオンラインで学び、その後研修では特殊な染色技術や8Kモニタによる画像診断など先進の技術を意欲的に会得。14~16日に神戸で開催された日本病理学会総会にも出席した。約2週間の滞在で観光はわずか1日というハードワークには脱帽するばかりだ。帰国後は病理医のリーダーとしての活躍はもちろん、カンボジアでの病理学会創設の中心となることも期待されている。研修発表会ではプレゼンがおこなわれ、6名の医師が活動報告のほか、神戸ライフの思い出も披露、特に日本食がお気に召したようだ。「アリガトウゴザイマシタ」と日本語で感謝の意を表した後には、彼ら彼女らの新たな船出にふさわしく薄暮の神戸港をバックに修了証書が授与され、ロータリアンたちから温かな拍手が送られた。神戸東ロータリークラブでは、今後もカンボジアの医療環境の向上にむけ独自の支援をおこなっていくという。85

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