KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2022年6月号
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(細胞)といった検査でがんの〝性格〟を見ていると、どの程度の範囲を切り取ると再発を防げるのか、どういう治療が最適なのかなどが判断できます。手術か放射線治療か、抗がん剤や放射線でがんを小さくしてから手術をするか、その逆が良いのかなど、一つ一つのがんに対してどれが最善の方法なのかを呼吸器内科と外科、放射線科、病理の先生にも加わっていただき毎週のカンファレンスで相談して、結果を患者さんに可能な限り時間をかけて丁寧に説明しています。各科の先生方が意見を出し合いながら、患者さんにとって最も良い治療を進めているというのが、神大病院の自慢の一つだと思っています。田中先生にしつもんQ.医学の道を志したのはいつ、どんなきっかけで?A.高校で進路を決めるころ、阪神・淡路大震災が起きました。家は半壊、通っていた長田高校は避難所になりました。友達や祖父が亡くなり、目の前の人を助けられないという無力感に苛まれていたとき偶然、大阪から自転車でボランティアに来たドクターに出会いました。どこへ行ったら診察ができるかと尋ねられ、学校や避難所を案内し、帰りは家に泊まってもらって話を聞きました。それがきっかけで医学部進学を考えるようになりました。実は血を見るのが嫌いで、医学の道などそれまで考えてもいなかったのですが…。Q.日頃のリラックス法は。A.美味しいお酒を飲みながら、美味しいものを食べることかな。そして、患者さんや先輩・後輩、コメディカルのみんなと話をして、ニコニコさせてもらう。そんな日常のちょっとした時間でリラックスしています。特に趣味はないので、定年退職後はどうしたらいいのか。今から心配です(笑)。Q.血が苦手なのに、なぜ外科医に?A.医学部に入ると周りは物事を論理的に考える賢い人がたくさんいて、あまり考えずに目の前のことに突進してしまうタイプの私は外科系が向いているかなと思いました(笑)。手が器用に動かせるかは不安だったのですが、「やらずに後悔するよりやって後悔するほうがいい」と外科の道を選びました。77

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