KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2022年6月号
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神大病院呼吸器外科の中でも、最も患者さんが多い肺の病気。予防法や治療法、ご自身が外科医として技術の進歩とともに歩んでこられた手術法のことなど、田中雄悟先生にお聞きしました。―呼吸器外科が扱うのは主にどんな病気の患者さんが多いのですか。胸腔内にある臓器で、心臓や大動脈を扱うのが心臓外科、食道を扱うのは消化器外科。呼吸器外科は主に肺を扱い、臓器の隙間にある縦じゅうかく隔と呼ばれる部分も範囲に入っています。患者さんのほぼ半数が肺がんとそれに関連する疾患、縦隔腫瘍が1割程度、肺が破れて空気が漏れてしまう気胸、うみがたまって起きる感染症などがあります。事故などで折れた肋骨が肺を傷つけてしまう危険がある場合は、整形外科と相談して呼吸器外科が担当するケースもあります。―ほとんどの肺の病気は手術で治療ができるのですか。加齢とともに肺が次第に硬くなってくる間質性肺炎は手術で元に戻すことはできず、進行を遅らせる治療しかありません。主にたばこが原因で起きる慢性閉塞性肺疾患(COPD)は肺の中にあるたくさんの小さな部屋の壁が潰れていき、肺が伸び切っている状態です。空気を吸えても吐くことができず、吸入器を使って呼吸を助けます。フィルターが壊れて、吸った空気をうまく体の中に取り込めない状態になるので強制的に酸素を補給します。いずれにしても肺を健康な状態に戻す根本的な治療にはなりません。―肺の移植手術はできないのですか。摘出後の劣化が早い肺は移植には不向きな臓器です。一部の難治性の肺疾患に対し移植が行われますが、ドナーの数も少なく患者さんは何年も待たなくてはいけないのが現状です。神戸大学では肺の移植手術は行っていませんが、手術が必要な患者さんの神大病院の魅力はココだ!Vol.10神戸大学医学部附属病院呼吸器外科田中 雄悟先生に聞きました。74

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