KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2022年6月号
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4月21日~25日、新緑に包まれた芦屋平田町のギャラリー開雄で、アトリエ ユ・トームのポーセレンレースドール展が開催され、主宰の藤原幸子さんと彼女の教え子7名の作品が、阪神間モダニズム時代のムードを留める洋館を華やかに彩った。中世ヨーロッパ貴族たちを魅了したポーセレンレースドールだが、現在はその製作が趣味として広く愛好されている。しかし、ホビーと侮ることなかれ。その工程は手間がかかり複雑だ。成形したボディに泥漿をしっかり染み込ませたレースを着せていき、その後、3度も焼成する。最高温度1200℃の窯の中でレースは焼失するが、染み込んだ磁土がレースの模様そのままに焼き上がる。繊細で難しい作業の連続だからこそ、完成時の喜びはひとしおだとか。パリの世界的美術館がその実力を認めるオルセー世界芸術認定作家の藤原さんだが、今回が最後の展覧会となった。今後は彼女からまさに〝薫陶〟を受けた作家たちが、技と優美さを受け継いでいくだろう。アトリエ ユ・トーム ポーセレンレースドール展オルセーが認めた典麗と精妙ギャラリー開雄(芦屋平田町)藤原幸子さん藤原さんが手がけたオルセー世界芸術認定作品「慈愛」作品名「希望」作品名「フラメンコ」63

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