KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2022年6月号
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既得権益に立ち向かえ─脇浜さんにとって、神戸はどんな街ですか?脇浜 私の唯一のアイデンティティです。兵庫区に生まれ、北区や市内のいろんなところに住んで、兵庫高校から神戸大学。テレビ局に勤めていた頃は岡本から通っていましたし、今も神戸に住んでいる生粋の神戸っ子です。─脇浜ゼミの研究テーマである「マルチプラットフォームストーリーテリング」とは?脇浜 多様なメディアを使用した情報発信のことです。かつては、新聞は記事を書き印刷する。テレビ、ラジオはそれぞれ、映像、音声の番組を作って放送する、と別々にやっていました。でも、今は、何か伝えたい情報があるならば、SNSも含め全てのプラットフォームでやるべきです。アメリカでは、取材して、記事を書いて、音・映像も自分で撮って、編集もできるというデジタルジャーナリスト的な人が増えていて、私もそういう人材を育てたいと思っています。なかでも映像はリッチコンテンツです。映像でちゃんと撮れば、テキスト化することができるし、音声化もできる。文章ありきでは動画にしたくても最初からやり直さなければなりません。映像をハブとして作るのが、今の時代。学生には常にそういう発想に立って欲しいと話しています。立ちはだかる壁脇浜 読売テレビ在職中、アメリカ留学で修士号を取得して帰って来た時、メディアもデジタル化で変わらないといけないと感じ、手探りながらもインターネットなどを使った企画をいくつも出しましたが、結果は「視聴者がインターネットに流れては困る」とか「系列局が困る」とか。テレビ局の中にいて「新しい分野に挑戦しましょう」というのは、ことごとく既得権益の壁に阻まれました。支持してくれる人はいたので、少しずつ実験的にはできましたけど。横山 私が10年前にKiss FMを引き受けた時も結構戦いました。公共のメディアたるものはこうあるべきというメディア本来の目的が「メディアを守ること」になってしまい、メディアの矜持とか哲学みたいなものが消え去ってしまっています。大人の言うことは聞くな脇浜 今、大学で若い世代と向き合っていると「新しいことをやりたい」という思いを強く感じます。話もよく聞き、どんどん伸びていく姿はやりがいになります。年齢を考えれば、私たちには限界があり、若い人たちに引き継がなければならない。口癖のように言っているのが「大人31

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