KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2022年6月号
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引き続き瓦づくりについて、平尾工務店が使用している三州瓦を例にご紹介します。乾燥や施釉を終えた後は、いよいよ窯で焼成していきます。窯は時代とともに穴窯から平窯、さらにだるま窯へと進化してきましたが、現在はトンネル窯により安定した品質で大量に生産しています。トンネル窯とは、片方の側から焼成前の瓦を詰めた台車を入れ、それを移動させながら焼成・冷却・燻化し、反対側からでき上がって出てくるオートメーションの窯で、その長さはなんと約120m、バーナーは54本もあります。窯詰めの作業には熟練の技術が必要です。桟瓦など一般的な瓦は、斜めに設置して重力を分散させて変形を防ぎます。軒瓦など特殊な形の製品は重心を見きわめ、ピンで角度を調整しつつ、ねじれを想定しながら積み分けていきます。台車を20分に1台のペースで窯に入れ、約12時間かけて焼成していきます。中の温度は徐々に上がっていき、最高温度1150℃でしっかり焼き締め、そこから急平尾工務店木のすまいプロジェクト失われつつある日本伝統の建築文化を未来へ。連綿と受け継がれてきた匠たちの仕事をご紹介します。瓦編|Vol.5焼成・燻化トンネル窯。窯の中は1,150℃にもなる116

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