KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2022年5月号
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らう作品になりましたし、ミニシアターを知るきっかけにもなりました。ちょうど『みぽりん』のプレイベントの時に元町映画館スタッフの石田さんから勧められ、安楽監督主演作の『1人のダンス』を観に行くと、画面を超えて安楽さんの想いが伝わり、やりたいことを思うようにできていない自分と映画が重なって、「自主映画ってこんなにすごいんだ」と感激しました。来場していた安楽さんに号泣しながら気持ちを伝え、そこから交流が始まりましたね。―『まっぱだか』はコロナ下で生まれた作品です。片山さんから直接出演のオファーをいただいた時は本当に嬉しかったです。当て書きだったので、自分自身のこと、他人といるときにずっと笑っているから、何をしてもいい人と思われてしまうこと、人と付き合うと我慢ばかりし、最後に気持ちが爆発して終わることなど、いろいろお話しました。―1週間の撮影は非常にハードですが、どのようにナツコを演じたのですか?撮影へ入るときに、笑ってごまかすことは絶対にしないと決めて臨みました。ナツコはわたし自身ですから、ちゃんと自分に向き合い、意識的に言われたことを受け止め、自分で思ったことを表現する。両監督は思ったように動いていいと言ってくれましたが、精神的にしんどかったですね。―どんな点がしんどかったですか?横山役の片山さんが、わたしが今までされて嫌だったことを全部、的確に演じてくれたのです。今までわたしはこんなことを受け流していたのかと。きちんと受け止めると本当にしんどかった。嫌われないように笑って自分を守っていたけれど、もっと自分のことを大切にしたいと撮影中に気づきました。安楽さんの演出も、ナツコの気持ちを一緒に考えてくれ、横山と対峙するシーンは背中を押してくれました。―W主演の柳谷一成さんが演じる俊とナツコの関係は?ナツコは自分の気持ちを言えない人ですが、俊は正反対の人です。相手がそうだと、逆にこちらも自然体でいられる。実際に柳谷さんといる時は気持ちが楽でしたし、撮影後半は横山さんの愚痴も聞いてもらいました(笑)―元町映画館では先行公開の3週間連日舞台挨拶に立ち続けましたね。自分のお店が映っていたと観に来てくださった方もいましたし、元町の方は本当に温かくて、「頑張ってね」と声をかけてくださいました。舞台挨拶の時の空気がとても柔らかくて、自分が元町映画館ファミリーの一員だと思っているので、終わるのが寂しかったです。―映画では「当たり前」がキーワードですが、津田さんにとっての「当たり前」とは?俊と安楽さんが演じる吉田みたいに、どんな状況になっても隣にいてくれる友達、当たり前に隣にいてくれる人はすごく大事だと思うし、だからこそ、もっとそんな人を大切にしたいですね。85

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