範囲が広い消化器内科の中でも最近よく耳にする「炎症性腸疾患」。原因や治療法について大井充先生、神戸大学で進められている研究について星奈美子先生にお聞きしました。―炎症性腸疾患とは。症状は。炎症性腸疾患は主に大腸が侵され下痢や血便という症状が現れる潰瘍性大腸炎と、小腸も含めて消化管全体が炎症を起こし腹痛や発熱などの症状が現れるクローン病をいいます。―患者さんは多いのですか。どの年代が多いのですか。潰瘍性大腸炎の患者さんは難病指定されている病気の中で最も多く、ごく軽症を含め20万人超、統計を見るとアメリカに次ぎ2番目に多い国が日本です。クローン病については軽症も含め6万人程度といわれています。発症のピークは20代から30代ですが、潰瘍性大腸炎では高齢になってからの発症例も経験します。逆にクローン病は10代から20代での発症が多く、50歳を超えてから発症するケースは稀です。寛解しても根治は難しいこの病気は年を重ねてもずっと付き合っていかなくてはならず、早期に寛解を達成し長期に維持することによって、生涯においてQOLを維持するということが治療目標になります。―下痢や腹痛が全て炎症性というわけではないのですか。患者さんはそのようなつらい症状が長く続くために受診されますが、自律神経や腸内細菌の乱れなどで起きているケースの方が多いです。若い患者さんの中の一部に炎症性腸疾患が隠れています。―腸内で何が起きているのですか。腸内の壁が炎症で〝荒れている〟状態です。潰瘍性大腸炎は基本的に大腸にだけ発症し、小腸をはじめ他の部分にもさらに根の深い炎症が起きるのがクローン病です。―診断方法は。潰瘍性大腸炎は大腸にびまん性の炎症が広がっているので大腸内視鏡検査で比較的神大病院の魅力はココだ!Vol.9神戸大学大学院医学研究科 内科学講座消化器内科学分野 助教神戸大学大学院医学研究科 内科学講座消化器内科学分野 講師に聞きました。大井 充先生星 奈美子先生72
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