KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2022年5月号
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床は欧米先進国と違い、精神科と高齢者用の療養病床がとても多く、産科診療所など日本独特の有床診療所が約9万床あり、合算すると世界一病床が多いといえますが、これらの病床ではコロナ患者を受け入れることができません(図3)。精神科病床や高齢者用の療養病床は大部屋が多くてマスク着用率も低く、逆に感染が広がりやすいのです。も常に防具着用など厳しい感染対策が求められます。また動線の分離も必要で、使うエレベーターも通路もコロナ専用にしないといけないんです。─一口に病床といっても、いろいろな種類があるのですね。橋本 病床数として出ている数字は、一般病床、精神科病床、療養病床などの病床を合わせたものなんですよ。日本の病─その程度のキャパシティですと、感染拡大時は受け入れることができませんよね。橋本 その通りです。ですから、一般病床をコロナ患者用に転用することで何とか対応しています(図2)。しかし、急増する患者数に対応がとても追い付いていません。しかも、転用する病床は感染防御のため完全に他の患者から隔離された環境でなければならず、対応する医療スタッフに日本の病床数=一般+精神+療養病床などの総数精神・療養病床はコロナ患者を受け入れられない指定感染症用病床は全国で1,800床余りしかない一般病床をコロナ患者用に転用するしかない図1)人口1,000人あたりの病床数(2019年)図2)病床数が多くてもコロナ患者を十分受け入れられない理由出典:OECD Health Statistics 2021日本ドイツフランスアメリカイギリス69

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