KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2022年5月号
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明かすように、〝難産〟の末にこの世に生み出された作品からは、生きることの厳しさ、つらさ、そして、これらの困難を乗り超えた先に、ようやく見えてくる希望や未来が描かれている。海に面した田舎町が舞台。一人暮らしの芙美(小林聡美)は断酒会の帰り道。新作の小説や映画に新譜…。これら創作物が、漫然とこの世に生まれることはない。いずれも創作者たちが大切に温め蓄えてきたアイデアや知識を駆使し、紡ぎ出された想像力の結晶だ。「新たな物語が始まる瞬間を見てみたい」。そんな好奇心の赴くままに創作秘話を聞きにゆこう。第18回は映画監督の平ひらやまひでゆき山秀幸さん。創作で大切なのは〝種を撒き続けること〟いつか必ず実る…と信じてTHESTORYBEGINS-vol.18■映画監督■平山 秀幸さん⊘ 物語が始まる ⊘作「ツユクサ」は、「見ている瞬間だけでも、とにかく明るい気分になってほしい…」と、平山監督が願いを込めて完成させたヒューマンドラマだ。だが、ただ明るいばかり―ではない。「結局、構想から完成までに10年もかかりました」と奇跡は起こる「コロナ禍や、ロシアによるウクライナ侵攻…。周りを見れば嫌なことばかりのこんな時代だからこそ、〝ポワッ〟とした明るく、ほのぼのとした映画を撮りたかったんです」現在、全国で公開中の新24

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