KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2022年5月号
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美術家 横尾 忠則1936年兵庫県生まれ。ニューヨーク近代美術館、パリのカルティエ財団現代美術館など世界各国で個展を開催。旭日小綬章、朝日賞、高松宮殿下記念世界文化賞受賞。令和2年度 東京都名誉都民顕彰ほか受賞・受章多数。横尾忠則現代美術館にて4/9より、開館10周年記念「横尾忠則 寒山拾得への道」展を開催。3/24、小説「原郷の森」(文藝春秋社)が刊行された。http://www.tadanoriyokoo.comかった擬音を会場内で流して、銭湯の臨場感を出せばよかった、と思った。また1階のエントランスには卓球台を設置して、来館者が自由に温泉卓球を楽しめるスペースを設けたり、ミュージアムショップや併設のカフェを「お土産処」「お食事処」などとしてのぼりを立てるなど、展覧会のテーマにあわせて館内全体を仕立てるという、観光と創造と遊戯が一体化した、美術展を超えた美術展を現出。展覧会観客をそのまま観光客にメタモルフォーゼさせてしまうという演出は、身体に染み付いた従来の美術観のアカを洗い流すに充分な演出を見せてくれたように思う。僕は常に、いい意味での悪乗りをしてもらいたいと希望しているが、回を重ねる度にエスカレートしているのは非常に嬉しいと思う。そしてこれらの関連イベント「横尾温泉卓球大会」では、通常のラケットの他、スリッパやナベブタ、お盆やチリトリなど様々な日用品をくじ引きでラケットとして用いた。必ずしも経験者が有利になるとは限らない。下は10代から上は80代まで、幅広い年齢層の参加者がラリーを楽しんだ。ようこそ!横尾温泉郷2016年横尾忠則現代美術館21

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