KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2022年5月号
19/118

泉主義」と題する旅行記まで出すことになった。そんな銭湯と温泉をテーマにした絵を集めて展覧会を構成したらどうだろうと、学芸員の林優さんからの提案で、「じゃ、やるなら美術館を温泉に変えてしまうような展覧会にして欲しい」と注文して実現したのが、第15回展の「ようこそ!横尾温泉郷」展であった。先ず会場を温泉地独特の解放された歓迎ムードと祝祭的なイメージを盛り込んで、美術館を温泉施設に見立てた。美術館の職員はハッピを着て、コスプレによって観客を迎えることで、一種の演劇空間をも現出したのである。温泉地に這入ると先ず目に飛び込んでくるのは、ソフトクリームを型取った大きいオブジェである。僕はそれを見ると、ついフラフラとソフトクリームに導かれて、食べたくもないのに必ずソフトクリームを買うのが儀式になってしまっていた。だから、このソフトクリームの模型を会場にたくさん展示したいと林さんに注文して、小部屋いっぱいにこの「ようこそ!横尾温泉郷」展 2016年 館内に旅館のお座敷を設定温泉郷にはどこに行ってもソフトクリームを型取ったオブジェがある19

元のページ  ../index.html#19

このブックを見る