KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2022年5月号
111/118

瀟洒で、居心地が良い。長いカウンターは、肘をつく部分がクッションになっている嬉しい造作。アンバーカラーのやさしい明かりに、マスターの田村芳晴さん自ら生けた花々が映える。アンダンテに流れるジャズの調べに乗り、氷を砕く音もシェーカーが刻むリズムも一幅のサウンドスケープとなる。注がれたのは店名を冠した「崑崙」。1983年のオープン時から愛されてきた、鮮やかな翡翠色のカクテルだ。ラムをベースにグリーンティーリキュールとライムジュースを合わせ、口当たりもやさしい。稀少なアイラモルトから昨年六甲山にオープンした醸造所のものまで、ウイスキーは200種類ほど。ノーチャージで、お好みのお酒を肩肘張らずに。穏やかなマスターとの会話も愉しい。トム・キャンティ。ルル。でっさん。ダニーボーイ。今は幻となってしまった神戸の名店に「若い頃、背伸びして通ったもんですよ」とマスター。あの頃を留める空間でグラスを傾けながら、佳き時代の神戸の余韻に酔いしれる夜もいい。崑崙神戸市中央区北長狭通2-1-11玉広第2ビル7FTEL.078-333-930617:00~23:30月曜・火曜休田村さんとの何気ない会話がお酒を美味しくするオリジナルカクテル「崑崙」幻となったアイラモルト111

元のページ  ../index.html#111

このブックを見る