KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2022年4月号
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に合ったお薬を見つける『がん遺伝子パネル検査』ができるのも神大病院の大きな特徴です。もう一つが難治性の潰瘍性大腸炎やクローン病といった炎症性腸疾患チームです。若い人や子どもさんの発症も含め、患者さんがどんどん増えています。新しい薬もどんどん開発され、専門分野として確立され始めています。―消化器内科で特に力を入れて取り組んでいることは。がんの早期発見です。内視鏡を使って発見し、お腹を切らずに内視鏡で治療するのは神大病院消化器内科の得意分野です。消化管チームの内視鏡がん治療は世界でも屈指の高い技術を持っていると自信を持って言えます。また早期発見が難しい膵臓がんについては手遅れになるケースが多く、見つかった時点で既に治療ができない状態にまで至っています。そこで、「超音波内視鏡検査」を広く知ってもらおうと努めています。―膵臓がんはなぜ一般的な検査では発見できないのですか。膵臓は胃の後ろ側にあり、一般的な腹部超音波検査では胃の中の空気が邪魔をして小さながんは見落とされてしまいます。自覚症状がほとんどないので、血液検査の腫瘍マーカーやCT検査で発見されたとしても既に進行している場合が多いのです。―超音波内視鏡検査とは。従来の胃カメラの先端に超音波装置を備え、胃や十二指腸の内部から胃壁や腸壁を介して膵臓を観察する検査です。胃カメラとほぼ同じ検査で安全性が高く、麻酔をしますので苦しいということもほとんどありません。―膵臓に異常が見つかったら内視鏡で手術をするのですか。小さながんが発生すると膵管に微妙な変化が起きます。それを検査で捉えたら内視鏡から細い管を膵管に挿入し、膵液を採取、がん細胞の有無を確認します。膵臓がんは内視鏡での除去は難しく、方法は外科的手術になりますが、早く見つけて早期に手術ができれば、高い確率で根治が期待できます。―膵臓がんの他にも内視鏡検査はどんなところで行われているのですか。炎症性腸疾患の低年齢化もあり、内視鏡での検査や治療が必要な子どもの患者さんが年々増えています。そこで内視鏡専門医と小児科医、小児外科医とが協力して小児内視鏡センターを開設しています。神戸大学ICCRC(国際がん医療・研究センター)ではAIを使う内視94

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