KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2022年4月号
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ましょうということです。誰かのため、何かのためにという考えで、利他的に生きることも大切ではないかという提言で講演を締めていました。─次回の川西市民フォーラムはいつですか。長谷部 新型コロナウイルス感染症の動向にもよりますが、いまのところこの秋の11月12日土曜日に開催予定です。次回は20回目なので大々的に開催して、医師会を身近に感じていただけるようにしたいですね。すが、患者さんの多くは「完全に症状が消える」ことを「治る」ことだと考えています。長寿が当たり前になる時代は「無病息災」ではなく「多病息災」、病気を気にせず、健康を目的とせずに、人生を楽しむという意識が大切になってくるでしょう。─死の形も変わるでしょうね。長谷部 がんは治り、感染症も克服となると、これからは脳梗塞や心筋梗塞など血管の病気で亡くなる方の割合が増すのではないか、また、安楽死についてもそろそろ健全に議論するタイミングではないかとお話されていました。─120歳まで生きるには、どうすれば良いのでしょう。長谷部 臓器など身体の部品の耐用年数は50年といわれていますから、使いべりしないように、運動はのんびり歩くなど軽いものを長く、脳トレもほどほどに、特に血管は取り替えが難しいので水分摂取と食事量に注意して大切にしえてくれるAI機器などが実用化され、2030年くらいにはAI診察が主流になるかもしれないということです。─一方で、先端の医療が当たり前になると、医療費の増大がさらに進むようになってくるのではないでしょうか。長谷部 講演ではその点も指摘され、1995年からの20年間の日本の成長率は世界の主要国で最下位という状況に、医療の進化による医療費増大がのしかかって、保険医療制度をいつまで維持できるのかは大きな課題です。皆保険制度とフリーアクセスのスタートから60年を迎え、そろそろ変えないといけない状況になっているのではないかとお話されていました。─ほとんどの病気が治るようになると、また別の問題も起きてきそうですね。長谷部 「治る」という解釈の違いも主題のひとつでした。われわれ医師は「病気が生活を邪魔しない」ことが大事と考えま次回の第20回川西市民フォーラムは11月12日に開催予定91

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