KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2022年4月号
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を避けて行っている方が多いのも現実です。糖尿病は生活習慣だけが原因で起こるものではないにも関わらず、「自己管理ができない人」、「生活習慣が乱れている人」などというレッテルを貼られる場合もあります。1型糖尿病の発症は、食べ過ぎや肥満とは全く関係ないことも、十分に理解されていません。糖尿病を持ちながら、糖尿病を持たない方と同様に、不自由なく社会生活を送っておられる方は多くおられます。糖尿病を持つことを、特別視しない社会になることが必要です。社会の「壁」を取り除こう―今年「第65回日本糖尿病学会年次学術集会」が開催されますが、神戸での糖尿病学会年次学術集会の開催はこれで4回目だそうですね。神戸は都市機能や会場収容力からみても、糖尿病学会年次学術集会のような大きな会議を開催するのにふさわしい日本で有数の都市です。コロナ禍のため過去2回はオンライン開催でしたので、今回は3年ぶりに参加者が会場に集まる会になります。リアル参加ならではのお楽しみとして、神戸自慢のスイーツやコーヒー、名店ランチ、有馬温泉の足湯など、神戸コンベンションビューローの力も借りながらおもてなし企画を予定しています。―昨年は市内でブルーライトアップも実施されましたね。WHO(世界保健機関)と国際糖尿病連合が呼びかけ、2006年から世界各地で始まったのが「世界糖尿病デー」(11月14日)ブルーライトアップです。今年、糖尿病学会年次学術集会開催が予定されている神戸市が昨年のシンボルライトアップエリアに選ばれ、例年以上に多くの場所がライトアップされました。―啓発しようとしていることは。糖尿病は適切に治療を受ければ合併症の発症を抑えられるだけでなく、2型糖尿病は病気自体を予防できる場合もあります。まず、こういった正しい情報を知って一人一人の健康増進につなげてもらいたいと思います。さらに、糖尿病患者さんに対する偏見や、偏見のために患者さんが受ける不利益についても多くの方に知ってもらいたいと思います。昨年のライトアップ点灯式では1型糖尿病を持ちながらサッカーJ1ヴィッセル神戸で活躍するセルジ・サンペール選手から、「限界はない。頑張ればやりたいことは達成できる」とメッセージを頂きました。糖尿病を持つ多くの人たちにとって心強い応援になったと思います。糖尿病患者さんのケアに関わるものとして、社会の不理解を解消するための取り組みも大切だと考えています。5月の学術集会では、糖尿病を持つ方に対する社会の偏見について考えるシンポジウムも開催する予定です。糖尿病を持つ方が暮らしやすい社会をつくるために、一人でも多くの人が現状に目を向け、この病気に対する正しい認識を持っていただきたいと思っています。87

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