KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2022年4月号
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やめました。ただ50歳になったからといって何もしないのは面白くないし、稼いでいかなければなりません。そこでホールディングス化して自分の居場所をつくったんです。私が外に出ることで次の世代が自然と前に出て、実力を発揮する。それがカタチになって、やりがいとなり、成長していく好循環が生まれました。だから高齢だからと単に引退に追いやるのではなく、先代が自ら行きたくなる、身を置く場所をつくらなければならないですよね。山野 行き場所をつくることは、アトツギ事業の根幹にある課題ですね。私は経営者は引退後、社会起業家になればいいと思っています。培った経営手腕を発揮して、社会のために役立つ起業をやってもらう。沼部 サステナビリティとしてもいいことですね。山野 会社を存続させていくために親は場所をゆずり、違う場で活躍する。時代の変化にあわせ、会社も変化していかなければ。特に今はコロナ禍で色々な常識が変わって、時代の変化についていけてなくてもいいと考えていたレガシー産業の人達も変わらざるをえない状況です。今こそ大きく変わるチャンス、国をあげてアトツギを応援しているのも必然的なことと思いますね。沼部 家業が生み出す価値を他の誰よりも最大化できるのはアトツギだと確信しておられるのがわかりました。最後に今後の抱負を教えてください。山野 アトツギが未来を語り、若いアトツギの憧れとなるような人を日本全国各地域で生み出していくことが日本を盛り上げていくことにもつながります。「ベンチャーの卵」であるアトツギを次々とふ化させるには現在、自主練的にやっていることを事業として強化していく必要があります。そこで、まずはスクール事業を実験的にやっていこうと考えています。座学ではなくディスカッションをして、家業で実現したい未来を自分の言葉にして、行動を起こす。私たち自身も「アトツギベンチャーというカルチャーを世の中に定着させる」というミッション、「野心系アトツギが日本経済に地殻変動を起こすエコシステムを実現する」というビジョンを言葉として掲げ、行動していきます。沼部 神戸に根を張り、家業を継いで新しい商品やサービスを生み出すアトツギが増えていくことで、神戸をアトツギの街としてブランド化できそうです。アトツギブームを起こせば、神戸経済にもきっと活力を与えますよね。アトツギベンチャーをカルチャーにする79

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