KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2022年4月号
78/132

建築士として空間を捉える自身の強みを掛け算したイノベーション。これこそがベンチャー型の事業承継です。今後は海外から来日した飛行機の抗菌も…と夢が広がっています。沼部 表具の修理屋さんが他の商材を開発して世界規模の商売をする、意外性が面白いですね。山野 愛がありながらも、よそ者視線で見るからこそ、ずっとそこで働いてきた人達では気づかないことを思いつく、いい例だと思います。沼部 優秀な事業継承者でも絶大な力を持つ親のかげに隠れ、縮こまったイメージで語られるケースがありますね。山野 親の力が絶大というよりも、親がいつまでも君臨しているケースも多いですね。早く若い人たちに任せましょうよと進言するのが私たちの役目です。例えば、後継者のアイデアで起死回生したのに、取材では先代が出てくる(笑)。70歳をすぎた高齢者が会社の顔として出てくる会社と、30代の社長が出てくる会社では、若い人がどちらで働きたいと思うか、想像してみてほしい。自分の未来を投影できるのは、若い代表がイキイキと働いている会社ですよね。沼部 私もそう思って、自分の会社の代表は49歳のときに株式会社クロシェホールディングスCEO 沼部 美由紀 氏甲南大学卒。平凡で幸せなサラリーマン家庭に育った反動から自らは起業家をめざし、26歳でクロシェを創業。神戸発のバレエシューズ「ファルファーレ」をはじめ、「トレコード」、セレクトショップ「ジャスミンスピークス」など複数のブランドを運営。2019年、若手育成を考慮し、3社に分かれていた事業会社をホールディングス化。新しい分野にも臆せずチャレンジできる大きく自由な環境のハコを完備し、躍進を続ける一般社団法人ベンチャー型事業承継代表理事 山野 千枝 氏関西学院大学卒。大阪産業創造館などで中小企業や起業家を支援。官の仕事に携わるも王道を行かない「インディーズ系」。2016年に企業ブランディングや動画・ウェブ・社史の編集デザインを手掛ける「(株)千年治商店」を創業。多くの経営者取材を通して同族経営の経済合理性に注目、2018年に「(一社)ベンチャー型事業承継」を発足。国や自治体と協力し「ベンチャー型事業承継」を日本に定着させるために奮闘中「常識」が大転換している今こそチャンス!78

元のページ  ../index.html#78

このブックを見る