KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2022年4月号
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てにより現在は兵庫・長田エリアより西側が漁業の中心地に。「住吉川や夙川などいい川もたくさん。魚崎という地名があるぐらい、昔から魚が豊富なんですよ。『神戸に漁師っておるん?』という人の方が多いと思いますが、その認識をひっくり返していきたいですね」『実は神戸は豊かな漁場だった』。これは昨年秋に尻池さんも漁師として参加した、地産地消のイベント「FARM TO FORK 2021」で発信されたメッセージの一つ。まさにこの言葉通り、神戸の海は私たちが思うよりも豊かです。しかし、都市部での生活が活発になり、山が手入れされないまま荒廃し、田畑に水不足が起こることで、海には年々栄養が行き渡らなくなっているのも事実。こうした神戸の海や漁師そのものの意識を変えないといけないと、尻池さんは動き始めました。漁師と消費者が顔を合わせる時代へ2020年夏には神戸で船曳網漁を営む若手漁師らが集まる「神戸ペアトローリングス」を結成。しらすの冊子を作ったり、EAT LOCAL KOBEが開催するマーケットに出店したりと、漁師の枠を飛び出した活動を始めました。「現在は、市内で小学生に授業ができたらと話を持ちかけているところ。神戸の海でどんな魚が獲れるのか、漁師がどんな仕事をしているのかを知ってもらいたくて。神戸産の魚やしらすを使った給食を子どもたちに食べて欲しいという思いもあり、この提案も同時に進めています。子どもたちや地元の人にこそ、神戸の魚をたくさん食べてもらいたいんです」さらに、「今後は漁師が消費者の声を直接聞くことが大事」と尻池さん。「とあるイベントで釜揚げしらす丼を販売した時、『おいしい』『これなら食べられる』という声を聞いて、漁師をやっていて良かったなと感じました。そういう経験から、組合でキッチンカーを購入してもらうことに。いい影響が広まっていると実感していますね。他の漁師たちにも今後は生の声を聞いてもらえたらと思うんです」。漁師と消費者が顔を合わせることなどなかった時代から、お互いにコミュニケーションする時代へ。新しい流れを感じるエピソードです。自然を守るため漁師が海から山へ「今後は、山や川にも足を運ぼうと思っているんです」漁師が山へ? その理由を問うと、「山も人の手が加わらないと衰退していくと聞きました。六甲山の広葉樹も年月が経ち、本来であれば伐採して苗木を植えないといけません。また、木が生い茂っているように見えても山肌は日陰。何も育たなくなり、山の保水力が減72

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