KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2022年4月号
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普段の音楽とDNA?普段の音楽とDNA?地域で生まれた音楽を日本で演奏している。「いいな」と聴いてくれる人がいる。素晴らしい世界です。ただ、カルチャーを守るという意味で、古典も大切にしていきたいと思います。「コラボ」「ジャンル越え」、聞こえはいいけど、ジャズ“風”、タンゴ“風”という間違った解釈の音楽があふれるのは危険だと思います。若い頃、銀座にあった会員制クラブで演奏していた時に、飲みに来ているおじさんたちが「うるさい」人たちだったんですよ。「○○なんかタンゴじゃない」とか「それは違う」「間違いだ」と指摘する(笑)。でもそういう人たちに教えられたことは大きいです。|おじさんたちが認める正統派のタンゴとは?ファン・ダリエンソは完全な嗜好品。カルロス・ディサルリは芸術の人。タンゴのど真ん中、アルフレド・ゴビ。好みによって分かれます。ロックやジャズと同じです。ピアソラ「リベルタンゴ」を知っている方にはぜひ聴いてみて欲しいです。|小松さんの生活で普段流れている音楽は?クラシックです。シンフォニー、特にブルックナーが好きです。ベートーヴェンは聴くけれど、モーツァルトとハイドンはあまり好きではないです。オペラもわからないな。好き嫌いははっきりしているかもしれない。怒られちゃうかな(笑)。|演奏活動をしながら本の執筆、大変でしたね。誤解や間違いが多くて、誰かが書かなくちゃいけなかったんです。始めてみると、文化論やヨーロッパの歴史など、勉強しなくちゃいけないことがいっぱいあり、学ぶことを今後も続けていかなくちゃいけないと、痛切に感じました。僕が本を書いたのは「書きたいDNA」があったからだと思うんです。祖父は小説家になることを夢見ていた人で、東南アジアに従軍した際の体験を書いた本を残しているんです。祖父に書かされたって考えると、もうそれは大変でも仕方がなかった。書く運命だったんです(笑)。タンゴの真実 4,000円+税旬報社37

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