KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2022年4月号
35/132

ンドネオン。蛇腹を使って空気を出し入れし、ボタンを押すことで音を出します。アルゼンチンの印象がこれだけ強いのに、実はドイツで考案されました。装飾がとても美しいんですよ。音色だけでなく、見た目の美しさに魅力を感じる奏者やファンもいる、非常に珍しい楽器です。本を書くために調べていてわかったのですが、バンドネオンは美しいとされる比率を用いた「白銀長方形」。法隆寺や伊勢神宮の建造物にも用いられているそうです。作り手の目論見による美しさであったのか、たまたまなのかわかりませんが、これ、僕が第一発見者だと思います!|伸びたり縮んだり、螺鈿の装飾がキラキラしたり。魅せ方も意識していますか。カッコつけるつもりはないのですが、いい音が出ている時はカッコイイと思います。いい音を出すために楽器の動きは重要ですし、そのためには奏者の姿勢や向き、呼吸も重要です。全て揃って初めていい演奏ができます。鍵盤楽器っぽくもあり、管楽器っぽくもある唯一無二のバンドネオンに僕は中2の時に出会って、それから一筋です。|タンゴと言えば、「リベルタンゴ」が頭の中に流れる人も多いと思います。サントリーのCMでチェリスト、ヨーヨー・マの演奏が使用され有名になりましたね。80年代はピアソラ・ブームでした。ヨーヨー・マさんの演奏は、サポートメンバーが全員タンゴ奏者だったのでタンゴの世界そのまま。素敵なリベルタンゴでした。おかげでピアソラの名前と共にタンゴが広く知れ渡る事になりました。バンドネオン奏者を目指す人が増え、今でも、僕のところに学びに来る人は、ピアソラの名前を口にします。|ピアソラはタンゴの作曲家?タンゴの作曲はほんの一部で、クラシックもジャズもロックも残している作曲家で、アレンジャーでもあり、バンドネオン奏者でもあります。幅広い才能があり、僕は彼自身が『アート』だと思っています。70年代に発表した「リベルタンゴ」は実はロックだったんですよ。アップテンポで、エレキギターが入ります。いま聴くとすごくカッコイイ。今年は没後30年にあたるので、記念に、ライブで演奏しています。「いいね」って声をたくさん頂いています。|クラシックもジャズもロックも自由自在とは…アストル・ピアソラという人アストル・ピアソラという人35

元のページ  ../index.html#35

このブックを見る