KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2022年4月号
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支えてきた。黒澤明監督の「影武者」、篠田正浩監督の「瀬戸内少年野球団」では宮川撮影監督のチーフ助手を、五社英雄監督の「226」や「陽炎」では森田富士郎撮影監督のチーフ助手を務めてきた。大映作品の権利を持つKADOKAWAのこの4K修復プロジェクトに、宮島さんが監修者として参加したのは約8年前。「日本の名監督たちが撮った傑作を蘇らせるためなら協 新作の小説や映画に新譜…。これら創作物が、漫然とこの世に生まれることはない。いずれも創作者たちが大切に温め蓄えてきたアイデアや知識を駆使し、紡ぎ出された想像力の結晶だ。「新たな物語が始まる瞬間を見てみたい」。そんな好奇心の赴くままに創作秘話を聞きにゆこう。第17回は撮影監督、宮島正弘さん。100年先まで見てもらうために…映画修復に懸ける撮影監督の情熱THESTORYBEGINS-vol.17■撮影監督■宮島 正弘さん⊘ 物語が始まる ⊘ど、このデジタルリマスター作業で監修を務めているのが、邦画界のベテランカメラマン、宮島さんだ。「羅生門」に「雨月物語」。撮影監督はいずれも日本を代表する名匠と呼ばれたカメラマン、宮川一夫さん。宮島さんの師匠である。「宮川撮影監督に憧れて、映画界を目指し、大映に入社しました」と語る宮島さんは、この言葉通り、1966年に大映入社以来、半世紀以上にわたり、邦画界の撮影現場を師の創作意図の伝道者黒澤明監督の「羅生門」、溝口健二監督の「雨月物語」…。近年、日本映画の名作の数々が、鮮やかな映像の4Kデジタルリマスター版として修復され、現代に蘇っている。「映画は観客に見てもらわなければ意味がない。保存されているだけでは、それは映画とは呼べない。100年先まで日本映画の名作を残すために……」色味や光の濃淡の調整な20

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