KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2022年4月号
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和歌から探るやんごとなき有馬 平安時代語り調子でザッと読み流す、湯の街有馬のヒストリー。有馬温泉史略有馬温泉史略第四席歌は世につれ。川かわやなぎ柳川せんりゅう柳師匠じゃありませんが、よくそう言いますよね?今回は歌、といっても歌謡曲じゃなく和歌なんですけど、それを通じて平安時代の有馬がどんな感じだったか探ってみるとしましょう。和歌の古いのっていうと万葉集ですが、有馬(有間)は載っておりますよ、古湯ですしね。〇しなが鳥居名野を来れば有間山     夕霧立ちぬ宿りはなくてちなみに、しなが鳥とはカイツブリのことで、居名(猪名)の枕詞です。で、平安以降も有馬の名がいろいろな和歌に登場してきます。その代表格が百人一首の₅₈番。〇有馬山猪名の笹原風吹けば     いでそよ人を忘れやはするこれを詠んだお方、大だいにのさんみ弐三位は、紫式部の娘さんでございます。また、本誌でおなじみ風さやかさんのタカラヅカの先輩で昭和の映画スター、有馬稲子さんのお名前はこの歌に由来するそうですよ。で、ほかにもいろいろ詠まれておりますのでご紹介。〇有馬山おろす嵐のそよぎつつ     秋をも待たぬ猪名の笹原〇ありま山すそ野の原に風ふけば     たまもなみよるこやの池水〇有馬山みねゆく雲に風さえて     あられ落ちくるゐなのさゝはらはい、ここで気が付きました?そう、有馬といっても有馬山のことばっかりで、しかも猪いなの名野や昆こや陽、つまりいまの伊丹あたりとセッ120

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